「早雲の軍配者」富樫倫太郎



わたくし、本は、もっぱら「文庫」か「新書」と決めております。

安いからという理由もありますけど(セコいねー)
現状の生活では
本を読む時間を捻出できるのは
出張の移動車中となっているので
重くてがさばる新刊や単行本だと、
持ち運ぶのが大変だからです。

それに、今まで買い貯めた本がたくさんありますので 
文庫と新書だけで、数年間大丈夫だってこともありますが。

そんな中で、書店の店頭で見て
文庫になったら読んでみたいなと思っていた本がこれです。

富樫倫太郎著「早雲の軍配者・上・下」です。

わたくし、読んだ本は、いくつかに分別しておりますが
①参考書として手元に置く
②じっくりと再読してみる
➂読みおえたらまとめておいて、たまったらブックオフ行き
となっております。

小説の類は、ほとんどが、読んだらブックオフ行きなのですが
この作品は、じっくり読み返してみようと思ったので
残してあります。

歴史小説にありがちなのが
①資料の引用が多い
②会話が方言である
というもので、とても読むのにくたびれるということです。

歴史小説の大家ほど、その傾向がありますが
古文で書かれた資料を延々と掲載されても
ほとんどの人にとっては、いらないんじゃないの?
と思ってしまいます。

この作品には、それがなく
時代背景などは、シンプルで解りやすく解説されており
会話は、すべて現代標準語なので
読んでいてストレスがありません。

それに、なにより、まぶしいくらいの青春小説なのです。

若くて、才能にあふれた
風摩小太郎
山本勘助
曽我冬之介が
運命に導かれて出逢い
友情を育みながらも、
いずれ、北条・武田・上杉の軍師となって
生命をかけて戦うまでの物語ですが
とにかく、キラキラ輝いています。

「この世には、生命より大切なものだってある。(中略)
 死んだほうが楽だと思ったことは、何度もあった。
 だけど、おれは死ななかった。生きてきた。夢があったからだ。」

「嫌いだよ。だからといって、駄目なやつだとは思っていない。(中略)
 見どころのあるやつだとは思っていたさ。
 だからこそ、残念というか、意外な氣がするよ。」

「小太郎はいいやつだ。
 ほんとうにいいやつだよ。
 小太郎こそ、心から信じられる友だ。
 しかし、おれは北条にはいられない。
 北条の軍配を、小太郎と争うようなことをしたくないからだ。」

「泣くな。こっちも悲しくなる。
 それでなくても不細工な面なのに、
 これで泣き顔になったら化け物だ。」

「法螺でもいいではありませんか。
 どうせなら、大きな夢を持つほうがいいのです。
 夢を持たぬ者が、夢をかなえることなどできないのですから。」

「よし決めた。
 わしは天下平定を目指す。
 この国から、戦をなくすぞ。」

「いいんだ、みんなそう思っているさ。(中略)
 なんでも正直に話してくれる者が
 そばにいるのは、ありがたいことだ。」

「おじいさまと父上が立派すぎて
 三代目としては肩の荷が重すぎるよ。(中略)
 小太郎の目から見て
 直したほうがいいとか、改めるべきだと思うところがあれば
 遠慮なく諫言してほしい。」 

「戦は初めてだから、きっと間違いをするだろうし
 愚かなことをするかもしれない。
 そういうときは、どうか遠慮せずに叱ってくれ。
 殴ってくれてもいい。」

電車の中で読んでいて、何度も涙が出てしまいましたよ。

見かたによっては、悲惨な内容なのに
人物が活き活きと動いているこの感覚って
どこかで見たことあるなと思ったら
旧いとこでは「大脱走」
新しいとこでは「あまちゃん」って感じですかね。

だって、どちらも、
話そのものは、けっこうヘビーだけど
登場人物が、前向きに活き活きとしてるもんだから
観てて楽しく感じてしまいますもんね。

そうかな?と思う人へ
「大脱走」のストーリーを、リドリー・スコットが監督だとしたら
どうなってしまうと思いますか?

「あまちゃん」のストーリーを、野島伸司の脚本だったら
どうなってしまうと思いますか?

ってなことですよ。 

いずれ生命のやりとりをする、
才能ある若者が
お互いを認め合いながらも成長していくという
青春小説です。

戦国時代前期だけに
血なまぐさい内容のはずなのに
さわやかな読後感が残る内容です。

いきなり、今年のナンバーワン作品かもしれないなー。

今年も、まだ始まったばかりなので
これ以上の作品に、たくさんめぐりあいたいものです。

「軍配者」シリーズは
「信玄」「謙信」がありますので
一刻も早い文庫化を待っておりますよ。

待ちきれなくなったら、
単行本だけど、買ってしまうかもね。

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いとしのデューク

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