オーネット・コールマン「ゴールデンサークル」
まさか、「オーネット・コールマン」に
どっぷりハマってしまうとは思いませんでしたよ。
この人って、
フレーズはヨタヨタだし、音はスカスカだし
フリージャズってより、
ただ単にヘタクソなだけなんじゃないの?
って思ったりしましたが
独特の音と演奏に、こっちの耳がなじんで
ある日、ふと感性のチューニングが合ってしまうと
アリジゴクのようにぬけられなくなります。
オーネット・コールマンといえば
なんといっても、
「ゴールデンサークル」なのではないでしょうか?
ドラムとウッドベースの、シンプルなトリオによる
ストックホルムのクラブでのライブです。
今となってはなつかしい
「スイングジャーナル」誌にて
1967年の、第一回年間最優秀ディスク賞です。
ちなみに、翌年の第二回も
最優秀は、オーネット・コールマンの
「クロイドン・コンサート」だったはずです。
30ン年前、まだジャズを聴き始めたてのころ
オーネット・コールマンといえば
フリージャズのパイオニアとかで
なんだか怖そうな人でしたが
このアルバムは、大絶賛されておりましたので
こわいもの聴きたさで、
ナケナシのおカネでLPレコードを購入してみたら
「いったい、ナニがいいんだか、さっぱりわかんねー。」
ってな感じでした。
これをほめたたえてる人たちって
ハダカの王様状態なんじゃないの?
って思ったくらいです。
当然、このレコードは
「失敗したな」ってなもんで
その後、
ほとんどターンテーブルに乗ることはありませんでした。
で、月日は流れて、
音楽はCDからネット配信の時代になり
いろんなジャズのガイドブックを読んでいると
どれを読んでも、
やはり、このアルバムは絶賛されていますので
では、もう一回聴いてみるかってな感じで
CDを購入してみました。
そのとき、参考になったのが
後藤雅洋さんの解説でした。
いわく
「ヨーロピアン・エコーズ」
プップ プップと繰り返しているだけの曲だが(おいおい)
高速回転すると「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」になる。
(なるほどっ!)
オーネット・コールマン以外には演奏できない曲。
(そりゃそうだ。)
「ディー・ディー」
この曲が、年月が経って、
ナベサダの「カリフォルニアシャワー」に進化した。
(なるほどっ!)
「ドーン」
オーネット・コールマンが、
独特の解釈で演奏する「身も心も」である。
(なるほどっ!)
ってな感じです。
(やっぱ、プロの評論家ってスゴいね。)
一曲めの「フェイセス・アンド・プレイシス」だけは
最初から、なんとなくわかりましたし
CDに追加されていた「ドーナッツ」は
フツーの、ノリが良いジャズなので
誰でも違和感ないのではないでしょうか?
なんとなく理解できてしまうと
シンプルだけど、強力にスイングするリズムの上を
浮遊するようにひらひらしている
オーネット・コールマンのアルトサックスが
たまらなくキモチよくなってしまいます。
でもって、いちどキモチよくなると
何度繰り返し聴いても飽きないってところが
60年代最高の名盤といわれる所以なのかもしれません。
わたくし、それがわかるのに
30年かかりましたが。
オーネット・コールマンが演奏する
トランペットは、ギリギリ許せるものの
バイオリンは、カンベンしてくれよ
って思ってしまうということは
完全に理解するのには、
あと30年くらいかかるってことなんでしょうか?
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